雨が午後から雪に変わった。首都圏にしては久々の大雪となっている。立春の翌日が雪になるとは、暦は春でも季節はまだまだ寒さ本番である。

雪が降るといつも思い出すのが、三好達治の詩「雪」である。

  太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。

  次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

たった二行の詩に多くの余韻が込められている。太郎と次郎は家の中で眠っている。暖かい布団にくるまって夢を見ているのかもしれない。外では雪が深々と降り積もり、雪明りの中で家々が白い雪に埋もれている。この詩は雪の情景だが冷たさや寒さではなく、むしろ温かさが伝わってくる。心に沁みる良い詩である。